引きこもり時代、あまりにもモテない私は気がついた。
――そうだ、女装しよう。
むさ苦しいおっさんより、ひめにぃ様みたいな可愛い女装したおっさんの方がモテるはずだ!
当時ハマっていた百合要素のある小説『裏世界ピクニック』の影響もあり、完全に方向性を見失っていた。
サプリメントを買い、全身トレーニングをし、そして初めての化粧。
そこで衝撃を受けた。
「女の子って、こんなに大変なのか!」
特に目元。アイラインやアイプチは、ちょっとミスればバケモノ確定。
しかもやり直すために石鹸で全部落とす羽目になる。
まつ毛はビューラーやパーマでボロボロ、ウィッグは蒸れるし暑いし汗で崩れる。
最終的にスノウで加工すれば「マスク美人(自称)」レベルにはなった。
ただ、どうしても髭と骨格はごまかせなかった。
「まぁ、マスクすれば誤魔化せるっしょ!」
根拠のない自信だけはあった。
勇気を出してイオンモールへ。
物凄い恥ずかしさに包まれながらも、可愛い服を見て何事もなく帰宅。
その時は思った。
「よし、私はかわいい方だ!」と
そう思い、なぜかガールズバーに行くことを決断。
説明しよう。
ガールズバーとは女性スタッフがカウンター越しに接客するお店。
つまり、女装したおっさんが客で来る場所ではない!
それでも私は震える手で扉を開けた。
すると数人のパリピ客にドリンク注文をされる。
どうやら店員と間違われたらしい。
まさか女装したおっさんとは夢にも思わなかったのだろう!
なんとか椅子に座ったが、店内はカラオケとパリピの喧騒。
すぐに悟った。
――完全に場違いだ。
店員に「何にします?」と聞かれ、私は居た堪れず、
「場違いでした!」
と言い残し、逃げるように店を後にした。
余りの恥ずかしさに、なぜか観光地の山に登り、景色を眺めて帰った。
今でも思い明日だけで、頭が沸騰しそうになる。
ここまでで察しがついていると思うが、プロフィールの写真は私です。
小汚いおっさんの写真よりは見栄えがマシになるだろうと思いそうしています。